• 日時:2011年12月1日(木)
  • 会場:政策研究大学院大学 想海楼ホール(東京都港区六本木7-22-1)
  • http://www.grips.ac.jp/jp/about/access.html
  • 主催:政策研究大学院大学 ライフサイエンス政策研究プロジェクト
  • 助成:社団法人東京倶楽部
  • 後援(予定):研究・技術計画学会、日本開発工学会、知的財産マネジメント研究会(Smips) ほか
  • 参加費:無料
  • 日英同時通訳付き

趣旨

政策研究大学院大学ライフサイエンス政策研究プロジェクトでは、「基礎研究の経済的・社会的インパクトの測定と、それを最大化するための方策」を検討テーマの一つとして、活動を行ってきた。今回は、ライフサイエンス関連分野、ならびに比較対象となる他の分野に関して、国内外のスピーカーから事例をご提示いただき、基礎研究のインパクトに関する考察を深める。また、日英のイノベーション研究者の交流を促進し、今後両国間の協力関係を一層深めるための契機としたい。

 

スケジュール 敬称略

司会 隅藏康一(政策研究大学院大学 准教授)

10:00-10:05 開会の辞 白石隆(政策研究大学院大学 学長)

10:05-10:45 基調講演 イノベーションのための政策 黒川清(政策研究大学院大学教授)

10:45-11:25 基調講演 理化学研究所における産学連携とイノベーション 丸山瑛一(政策研究大学院大学 客員教授)

11:25-12:10 基調講演 イノベーション研究の潮流 Professor Sir Michael Gregory, Institute for Manufacturing, University of Cambridge.

12:10-13:30 Lunch

13:30-15:50 様々な分野におけるイノベーション事例と基礎研究の関与(20分×7名)

 司会 桑原裕(株式会社GVIN代表取締役)

(1)情報通信の事例

  James Collier, Founder and Former CTO, Cambridge Silicon Radio.

(2)ハードディスク技術の事例:グローバル企業と大学の相互作用

 David Williams, Laboratory Manager, Hitachi Cambridge Laboratory, UK.

(3)自動車の事例

 沼澤成男(株式会社デンソー 技術開発センター新事業開発室長兼技術企画部主幹)

(4)エレクトロニクス・半導体の事例

 牧本次生(半導体産業人協会 理事長)

(5)食品の事例:脳・腸管連関を介した食用グルタミン酸シグナリングの生理機能

 鳥居邦夫(味の素株式会社 名誉理事)

(6)応用脳科学の事例:非侵襲脳機能イメージングを通じて立ち上がる新領域

 小泉英明(株式会社日立製作所 役員待遇フェロー)

(7)政策研究大学院大学ライフサイエンス政策研究プロジェクトの調査結果

   齋藤裕美(千葉大学 法経学部 准教授)

 

15:50-16:10 Break

 

16:10-17:40 パネルディスカッション

モデレータ:隅藏康一(政策研究大学院大学 准教授)

パネリスト:

     上記講演者

     有本建男(科学技術振興機構 社会技術研究開発センター センター長)

     塚本芳昭(バイオインダストリー協会 専務理事)

 17:40-17:50 閉会の辞 永野博(政策研究大学院大学 教授)

 18:00-19:00 懇親会(シンポジウム会場と同フロアで行います。シンポジウムご出席の方は、どなたでも懇親会にご参加いただけます。参加無料です。)

以上

1  緒言

 日本産業が近未来の技術に特化しすぎた弊害は、近年ぽつぽつと、あちこちその片鱗が見えるようになってきた。しかし、今回の東日本大震災で、これが、実にはっきり出てきたのである。例えば、日本が開発したロボットや計測器が今回の大震災には、大方役立たずだったのである。代わって、海外の軍事用のロボットや計測器が大活躍した。これは、実に由々しき問題であると言わざるを得ない。因みに、このロボットは、英国のQinetiQ研究所の米国研究所が開発したロボットで、この中には、筆者が役員をしているオーストリアマイクロシステムズという、オーストリアのグラーツに本社がある会社のロータリーエンコーダーという部品が沢山使われている。

2 産業の将来と国家の将来

 本来産業が狙う未来は、1年から15年、国家が狙う未来は、近未来から15年、20年、30年、50年、100年であると言われている。近未来で産業と国家で狙いが重なるところはあるが、むしろ国家は、30年、50年、100年の計をしっかり立ててこれに取り組んでもらいたい。産業も、今日~近未来の製品開発計画から、3~7年の応用研究、7年~15年の基礎・基盤研究というポートフォリオをしっかり持って取り組んでいかないと、世界的な競争には勝てない。ましてや、既に、世界一の産業大国になった日本は、むしろ、応用研究や基礎・基盤研究にしっかり力を入れて、世界に先駆けたイノベーション創出を図らないと、世界が期待する日本から外れ、取り返しがつかない大失敗をする危険性が多々ある。学は、産業、政府のこうした短期、中期、長期の計画に対して、適切なコメントをし、また、その中身を最も明快に説明しなければならない。

3 日本企業の創業者たち:イノベーションをモットーにした

 日本を代表する企業が、その創業時代に、イノベーションを非常に大切にし、現場を重視し、異文化との対話を大切にした教訓を忘れてはならない。例えば、ソニーの創業者の一人である井深大氏は、1の成功製品には10の試作が必要で、10の試作をするには100の研究開発のプロジェクトが必要であると説いた。また、イノベーションには異文化との対話が必要であることを説いた。この考えは、ソニーの中村末広氏の「ソニーは1,10,100」に詳しく書かれている。本田宗一郎氏は、徹底した現場主義を貫き、イノベーションが現場からしか生まれないことを、肌で部下たちに教えた。そして実際に、世界をあっと言わせた数々の二輪車、四輪車を現場から創出した。この創業者精神が息づいているためであろうか、ホンダが、リーマンショックの時、研究開発費だけは減らさなかったのは、記憶に新しい。日立製作所の創業者・小平浪平氏は、中央研究所を設立した1942年(この年次は実に絶妙である。真珠湾攻撃の翌年である)に、「人生百に満たざるに、常に懐く千年の憂」と説いた。そして、常に世界を相手にすることを説いた。これら創業者達のイノベーションに対する執拗なまでのこだわりは、企業が、不況に陥った時、創業者の原点に戻って顧みられることが多かったが、これからは、これを恒に心に刻んで企業経営しなければならない、と筆者は思う。

小平浪平の書:長期的な視野に立った研究開発の大切さを説いた

今こそ、日本は、産官学が一致協力して、国を挙げて、この問題に真剣に取り組まなければならない。しかし、バブル崩壊後、疲弊した日本の産業は、これら先人の教えを守り切れていないのではなかろうか(例は3社についてのみであるが、考え方は、多くの会社に当てはまる)。特に、将来技術の研究開発に関しては、十分な投資をしていないのではないだろうか。また、取り組む課題がグローバル化してきているので、課題があるからと言って、そう簡単には取り組めない。課題の定義が難しいし、その解決には、世界の英知結集が必要なのである。

 

4 “Dialogue for Global Innovation”プロジェクト

筆者は、最近、世界の英知を結集して、課題に挑戦する場の必要性を強く意識し、このような場を設けることを提案し、具体的にそのような場の設定を準備してきた。この場で、21世紀に日本および世界が遭遇する課題を整理し、明確にするのである。そして、これらの課題に対して、1つ1つ、その解決策を提案するのである。この中には、当然、「グリーン・エネルギー」、「ヘルスケア」、「環境」、「少子高齢化」、「イノベーションとアントレプレナーシップ」、「超ユビキタス社会」、「産学連携」、「教育」等々の問題が入ってくる。

 ただ、初めから、これらの問題に取り組むには、間口が広すぎるのである。それで、初年度としては、「基礎・基盤技術とイノベーション」に焦点を当てた。具体的には、下記のテーマである。

(1) Trends of innovation study in each country
(2) How innovation research adopted in the nation’s policy
(3) Research trend of economic and social impact of Fundamental Research
(4) Best practice of maximizing the economic and social impact of Fundamental Research

これらを、”Dialogue”プロジェクトが主催するシンポジューム(2011年12月1日)の共通テーマとしたのである。

 先ず、日本からは、約20人の産官学を代表するアクティブな人たちのチームを提案した。そして、これらの人達が、グローバルな視点で、問題をとらえ、議論できるように、世界に声をかけた。具体的には、英国、米国、ドイツ、フランス、オーストリア、スイスに声をかけたのである。

 そして、2011年12月1日、六本木の政策研究大学院大学(GRIPS)で、議論(Dialogue)するのである。日本人20名程度、外国人約10名程度(実は、これを実現するファンドの資金に限りがあり、外国からの参加者を制限せざるを得ない状況である)からなるシンポジュームで課題を整理し、その解決策を提言するのである。参加者は原則としてポジションペーパーを用意するのである。そして、議論した結果は、直ちにWebなどで、世界にメッセージとして発信する。また、後で本にして出版する。本プロジェクトは5年である。最初は、なかなか社会も耳を傾けないかも知れないが、根気よく5年間続けるうちに、次第に社会に浸透していくであろうという考え方である。

 このような、言わば、産官学を横串で、ぐさっと刺すような試みが、日本にとって、とても重要であると思う。ともすれば、タテ割り社会の日本では、産の中、官の中、学の中の自分の持ち場近くに籠りがちである。それでは産官学の協力は不可能である。

 

5 今後の方向

 筆者の観察は決して本筋から離れていないであろうと思う。今の日本に必要なのは、縦型社会を打ち破って、横の連携をしっかりとることである。産は産の持ち場で、官は官の持ち場で、しっかり計画を練らなければならないが、これを持ち寄って、近未来、比較的近い将来の構想を、全体として、すり合わせ、しっかり持たなければならない。この時、ここに付加価値を付けるのが学であると思う。

 しかし、これらの連携を、グローバルな視野で行う必要があるのである。そこが、現代のプロジェクトが昔のものと違う点である。即ち、英知に満ちた外国人をここに入れて、世界を舞台として議論するのである。筆者が立ち上げている”Dialogue for Global Innovation”プロジェクトは、まさに、このような考えに立っている。

 

6 参考文献

6.1 桑原 裕、丸山瑛一 責任編集「技術経営・歴史の検証」、 2007年11月 丸善書店
6.2 桑原 裕、弘岡正明責任編集「21世紀の展望と技術経営」、 2009年7月、丸善書店
6.3 Yutaka Kuwahara, “Outline of Dialogue for Global Innovation”, July 2011
6.4  Koichi Sumikura, “Program of Symposium on Dialogue for Global Innovation ”, July 2011
6.5  桑原 裕:「暗黙知ネットワークの広がりに関する提言」、2011年研究技術計画 学会年次大会

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